教授ブログ

研究も臨床も、どこでもできる

私が若い頃、赴任した病院に、海外留学から帰国された先生が来られたことがありました。

当時の私は、その先生から留学中の研究の話を聞きながら、「海外には素晴らしい研究環境があり、だから多くの業績を上げられたのだろう」と思っていました。

ところが、その先生は帰国後の病院でも、日常診療の中から次々と研究テーマを見つけ、仕事を形にしていかれました。

あるとき、その先生が何気なく言われました。

「研究なんて、どこでもできるんですよ。」

私はその言葉にハッとしました。

設備や環境が研究をするのではなく、目の前にある症例や疑問をどう捉え、どう工夫するかが大切なのだと気づかされたのです。

それを見て、私自身も「ここで何ができるか」を考え、研究に取り組むようになりました。年によっては、その病院で麻酔科が最も多くの業績を上げたこともありました。

そして、その先生はその後、早くに教授となられました。

振り返ると、やはり伸びる人は、環境を理由にせず、その場所にある素材を見つけ、工夫して形にしていくのだと思います。

もちろん環境は大切です。しかし、それ以上に大切なのは、今いる場所で何ができるかを考えることです。

ないものを数えるより、今ここにあるものを探す。

研究も臨床も、結局はそこから始まるのだと思います。